TOP > 瀬戸正人 / 杉野真理 / 越間有紀子 / 高杉記子 / 須藤明子 / 小松透 / Uma Kinoshita / 小野良昌 /

須藤 明子 「希望の光」

 

理解しがたい景色に声も出なかった。私はただ立ちすくむだけだった。
そのどうしていいかわからない景色を忠実にとらえようとカメラを構えることしかできなかった。
でも、ゆっくり構え、きちんとのぞくと、ちゃんと希望が見えてきまた。
私はそういう光を見逃したくないと思った。

2011年4月
震災3週間後に現地入りした。当然のごとく想像を絶する現状に言葉がなかった。
ビルの上に乗っかったままの船やあり得ない場所に転がった車たちが現実のものとは思えず、
地球ではないどこかだと錯覚してくるのを止めるのに一生懸命だった。
でも、すぐに気がついた事で、それは簡単だった。足下を見ればすぐに現実に引き戻されるのだ。
足下には無数の生活用品の全てが泥まみれに転がっていたから。
とても具体的なものだから。目を下に向ければ涙が落ちそうになった。
その景色の中で、手元から離れてしまった何かを必死に探している人たちがいたのだ。

2011年10月
節電と東京では騒いでいた最初の暑い夏が過ぎたころ、10月の初旬に再び現地入りをした。
ちょうど、福島原子力発電所から30キロ圏内立入規制が解除されたころ。
放射線線量器をもち、その中へと車を走らせた。
空を見上げれば、真っ青な空、秋晴れの中、大きな鳥が私の頭をかすめた。
崩れた家もなく、何も変わらない街並み。足下には伸びきった植物に花が咲いていた。
手の中では器械が音をあげている以外は、何のかわりもない静かで美しい街。
その鳥や花たちが、そこに住んでいた人々の帰りを待っているように私には見えた。

経歴

1974年東京生まれ
1998年日本女子大文学部卒業
4年間の会社勤務の後、カメラマンアシスタントを経て、現在フリーランスカメラマン。

今までの展示

個展
2005年 コニカフォトプレミオ「間一inbetween-」コニカミノルタプラザ(新宿)
2007年 「避遁」キヤノンギャラリー(銀座/福岡/札幌)
2007年 「記憶の街」ギャラリーバーnagune(新宿ゴールデン街)
2007年 「シャングリラ」barアムリタ(西麻布)
2009年 「CUBA」プレイスM(新宿御苑)
2011年  JUNA21「encounter」ニコンサロン(新宿/梅田)

グループ展
2012年 「ASFHALT展」gatleryTANTOTEMPO(神戸)
2012年 「希望の光」大和川酒造北方風土館(喜多方)~「Reflection」9人の視点(会津若松市書多方市)より~

TOP > 瀬戸正人 / 杉野真理 / 越間有紀子 / 高杉記子 / 須藤明子 / 小松透 / Uma Kinoshita / 小野良昌 /