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小松 透 「Still Alive」

世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。
世界と君は、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、それぞれまっすぐに立っている。
君は自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。それを喜んでいる。世界の方はきみのことを考えていないかもしれない。
でも、外に立つ世界とは別に、きみの中にも、一つの世界がある。きみは自分の内部の広大な薄明の世界を想像してみることができる。きみの意識は二つの世界の境界の上にいる。
大事なのは、山脈や、人や、染色工場や、セミ時雨などからなる外の世界と、きみの中にある広い世界との間に連絡をつけること、一歩の距離をおいて並び立つ二つの世界の呼吸と調和をはかることだ。
たとえば、星を見るとかして。
二つの世界の呼吸と調和がうまくいっていると、毎日を過ごすのはずっと楽になる。心の力をよけいなことに使う必要がなくなる。
水の味がわかり、人を怒らせることが少なくなる。
星を正しく見るのはむずかしいが、上手になればそれだけの効果があるだろう。
星でなく、せせらぎや、セミ時雨でもいいのだけれども。

池澤夏樹『スティルライフ』より

本作品は南相馬の木々を撮影した作品である。陸前高田の「一本松」、気仙沼の「昇竜松」と同様に南相馬にも泉の「一葉松」など震災にも絶え、まっすぐにあるいは寄りかりながらも大地に立つ木々は生きる希望と安らぎをを与えてくれる。そのような木々をこれからも記録に残して行きたいと思う。

PROFILE

1969 宮城県生まれ
1994 多摩美術大学芸術学科卒業

「STILL LIFE」をテーマに1992年より映像作品と写真作品を制作。

HP:http://stilllife.org

主な個展・グループ展

個展

1995 「静かな生活」リュ・プラス
2009 「STILL LIFE」Place M
2010 「various 2007-2010」M2 gallery
2011 「nature morte -aprés311-」ニコンサロン新宿

グループ展

2011 「見つめる交流 -Intercambio de Miradas- PHE2011」RSF gallery(スペイン・マドリット)
2011 「Four weeks of Japanese Photograpers -2nd [STILL]」Gallery LUX(韓国・ソウル)

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